医師転職

売り手市場の小児科転職に待つ落とし穴

先日お会いした小児科医のお話を聞いて、小児科転職の難しさを再認識しました。

小児科といえば、医師不足の診療科の代表選手といえるでしょう。

が国の少子化に歯止めがかかる見込みはなく市場は縮小、モンスターペアレンツの増加で心労は増大という2つの懸念材料がまずあります。そこにもってきて、
10年前に開始された臨床研修制度でスーパーローテーションした若者が厳しい現実に打ちのめされて敬遠するという図式が出来上がってしまっているのです。

しかし、逆に考えれば「超売り手市場」なわけです。
情熱溢れる小児科医なら、多少のモンスターペアレンツは何のその。追い風の方が大きいのでは?と思う訳です。
実際のところ、小児科医は引く手あまた。大した経歴なく、専門医がなくてもスムーズに面接を通過するケースがほとんどです。

その先生も、医局人事の小児2次救急病院のハードさに嫌気が差し、部長と喧嘩。教授ともギクシャクして、複数の医師紹介会社を使って転職活動をしていました。当時本人から聞いたのは、
「複数の病院から好条件でオファーがある。迷っちゃうよ。」
とのことでした。最終的には某グループの病院に行かれる予定で、報酬は高いようでした。
うまくいきそうだなあ、と思っていたのですが、昨春転職して昨年末に飲み会で会った際にはストレスで激太り。

「行ってみたら全く話が違って、一人でなんでもやらされる。確かに額面は高めだが、残業代込。全く割に合わない。」
憤っておられました。
私はショックで掛ける言葉が無かったのですが、先生は遠からず辞めそうな印象でした。
急いで動かれないほうが良いと伝えましたが、先生は首を横に振って、
「ダメダメ、部長に完全に嫌われているから。教授も怒っているしね。今更医局関連には行けないよ。」
とおっしゃいました。

その先生は年俸に釣られて詳細な条件を良く確かめずに入職してしまったのです。ちなみにその病院は医師の定着率が極端に悪く、常勤も非常勤も大量の求人を常に出しています。医師紹介会社たちに総額で一体いくら払っているのか・・・という状態です。
彼も甘いですが、利用した医師紹介会社の担当者もひどいですね。どうして本当の内情を彼に教えてくれなかったのか。

それにしても、医局と喧嘩してしまった代償は大きい。出戻りができなくなってしまいました。
新居を構えたばかりのその先生には引っ越しは不可能。今回転職した病院も、実は遠かったのです。次の行き先を探すにはもっとエリアを拡げないといけないくなりました。
転職する際にはくれぐれも医局と喧嘩しないようにお願いします。

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