今年の3月いっぱいで医局を辞める決意をした
急性期病院で働くのをやめる決意をした、ある先生にお話を伺いました。その先生は医局からも急性期医療の現場からも逃げ出すことにしたのです。決して医局に不満があるわけではありませんでした。
その先生の所属された医局は他の医局と比べても穏やかな方で、むしろ人気は高い方でした。その証拠に、毎年2桁の若者がコンスタントに入局しとるほどでした。派遣先は中核病院ばかりで、この医局に所属していれば研究・臨床いずれにおいても医師としての理想的なキャリアが築ける、そんな魅力的な医局だったのです。
先生にとって、医局をやめるというのは医局の良し悪しの問題ではありませんでした。先生ご自身の問題だったのです。
簡単にいうと、10年以上にわたって臨床医をされてみて、先生が急性期の現場に向いていないことがやっとわかった。そういうことでした。
最初の5年間は何があっても我慢だと思い、医師という仕事を続けることに専念していたそうです。ところが、続けてはみたものの、やはりその5年の間に「自分は医師に向いていない」という気持ちは日に日に強まっていったのです。さらに5年頑張って、学位も専門医も取れるものは全てお取りになりましたが、自分は医師に向いていないという確信が強まるばかりだったようです。
先生は今年の3月いっぱいで急性期医療の現場から逃げ出すことにしました。
今後の身の振り方はまだ確定していません。3月いっぱいで医局も退局するつもりです。
本当は、今すぐにでも辞めたいようですが、まだ退局後の身の振り方が決まっていないこと、来年の医局人事で他の先生に迷惑をかけないためにも3月末までは続けるようです。