医師不足

医師流出入動態推計に注目を!

新しい医師不足の指標として「医師流入動態推計」に注目が集まっています。
これは慶応大学医学部5年生の岡田直己氏が4月に開催された第112回日本内科学会講演会で発表したものです。 
「医師不足解消のためにも客観的な数値が不可欠」
と岡田氏。

この「医師流入動態推計」は、厚生労働省の公開データから都道府県別に各地域にある医学部での「養成数(医師国家試験合格者数)」と「実際の増加数」を算出したものです。同期間の死亡(廃業含む)数を推計し、養成数から除いた数値を計算上の増加数とし、「実際の増加数」の差を流出入数としています。調査期間は1994年から2012年までの18年間。
 
都道府県ごとに医師の流出入数を算出した結果、全国7県では、養成数の過半数を超す医師が他県に流出していました。石川県では養成した医師の68.0%が流出、以下、島根県58.9%、鳥取県56.4%が続きます。

一方、最も流入が多かったのは千葉県で232.2%、埼玉県225.6%、兵庫県72.7%なども流入が多く、大都市近郊の県で医師の流入が多い傾向がありました。千葉、埼玉の両県は人口が多いにもかかわらず、医学部を持つ大学はそれぞれ1校しかないことが理由と言えるでしょう。医師の流入が多いと思われがちな東京都は、13の医学部があり、逆に16%が流出していました。

医師の流入の激しい地域では医師のアルバイトや常勤案件にも影響があります。すなわち、医師の供給が過剰であれば求人側が高額の報酬を提示しなくても人集めが容易にできるからです。この傾向が顕著なのは近畿圏でしょう。狭いエリアに医学部が多数存在するため、医師が供給過剰になり賃金が低下しています。逆に北関東や東北は医師の流出超過のため医師不足が深刻です。高額の医師アルバイトは医師の流出が顕著な地域で行うことが望ましいと言えます。東北地域に加え島根、鳥取、石川などが遠征系アルバイトには有望な地であると言えるでしょう。

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