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医療AIの活用と医師転職市場

医療AIの活用と医師転職市場

医局辞める

医療現場は、患者やその家族のニーズの多様化、AIの活用など、さまざまな要因が絡み合って常に変化しています。
そのような中で、自分に合った仕事を見つけ、自分の理想の医師としてのキャリアを積むために、転職をご検討されている先生も少なくないでしょう。
しかし、一般的な就職活動と同様に、医師の転職活動もその業界を知らなければ、納得のいく転職活動はできません。では、現在の医療業界の状況はどのように変化しているのか、これからはどのような医療が求められていくのか、みていきましょう。

日本の医療業界を取り巻く状況の変化

昭和の時代、日本の医療業界では、医師の立場が強く、患者の治療方針はすべて医師が決定し、患者はそれに従うだけの、いわゆるパターナリズムが主流でした。ですが、平成になってはや30年。今では医師が患者に治療について十分に説明し、患者が納得してから治療を受ける「インフォームド・コンセント」が定着してきています。また、別の医師の意見も聞いてから自分で考える「セカンド・オピニオン」も当然になってきました。このように、現在に至るまでの日本の医療業界は、着々と変化を遂げてきました。しかし、近年、さらに大きな変化が起こっているのです。

2017年にまとめられた「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書」では、「病床機能の分化」「在宅医療介護、地域包括ケアの推進」「総合診療専門医・かかりつけ医の普及」「AIを医療に利用する」などが今後の検討課題といわれています。転職活動の際は、これらの課題をきちんと見据えることが重要です。

医療業界における「病床機能の分化」と医師転職

現在、日本の医療業界では、病床機能の分化が推進されています。病床機能の分化とは、従来は「一般病床」と「療養病床」に分けられていた地域の一般病床を、「高度急性期」「一般急性期」「亜急性期」「長期療養」などといったように細分化し、地域住民に求められている医療内容と比較しながら、無駄のないように病床数を調節していく仕組みです。例えば、急性期に対応できる病床を持っていて、急性期の患者を受け入れることができる病院でありたいと思っていても、その地域で急性期病床の数が多すぎるようであれば、急性期ではなくほかの病床へと転換せざるを得なくなります。実際に、現在の7対1の急性期病床は削減されるため、各病院は高度急性期として生き残るか、一般急性期となるか、回復期その他の病床への転換の決断が迫られているのです。そのため、現在急性期で専門的な診療に従事している医師も、今後急性期として残るか、回復期や在宅などの分野に転向するか判断が求められます。一方、今後は回復期機能が強化されると考えられるので、リハビリテーション科の医師や地域包括ケアを担う医師の需要は増加すると予想されます。このように、医療業界における病床数の変化は、転職活動にも大きく影響を与えているのです。

業界における「在宅医療のニーズ」と医師転職

昔は「高齢化社会(高齢者人口が全人口の7%以上)」といわれていた日本。今や、日本は「高齢社会(高齢者人口が全人口の14%以上)」をとっくに通り越して「超高齢社会(高齢者人口が全人口の21%以上)」を迎えています。およそ4人に1人が高齢者という日本では、医療のスタイルも大きく変えていく必要があります。厚生労働省は、超高齢社会における医療方針として、「時々入院、ほぼ在宅」という方針を打ち出しています。つまり、今までは比較的少なかった在宅医療が、医師としてのキャリアを築く上で重要になってきているのです。在宅医療は、入院医療よりも医療費の削減になるため、国も在宅医療を積極的に推進しています。今後、ニーズが高まる分野でもあるので、自分の将来のキャリアの可能性の1つとして考えておくとよいでしょう。大きな病院では、特定の病気の診断や手術に特化したスペシャリストであることが求められますが、在宅医療では、内科や外科といった科を問わず、幅広い医療知識や技術をもったジェネラリストが重宝されます。好き嫌いが分かれるところですが、在宅医療に興味のある医師は、医療業界のどの科の知識や技術も、しっかり吸収していきましょう。

医療業界における「総合診療医の普及」と医師転職

総合診療医とは、患者の身体の状態だけでなく、心や社会的な問題などといった背景も含めて、患者を継続的に診察し、必要であれば専門医に紹介するという役割を担う医師のことです。総合診療医は、子どもからお年寄りまで、男女関係なく、地域の人たちの健康を守ることができる、総合的な診療能力を持っており、地域の人が身体に不調をきたしたら、まずその医師にかかるというプライマリ・ケアを専門としています。従来はそれほど重要視されていませんでしたが、新専門医制度への移行に伴い、「総合診療専門医」という新しい専門医も創設されたことで、認知度も向上しつつあります。総合診療医は、総合病院での総合診療科を指す場合と、中小病院やクリニックなどでの家庭医を指す場合がありますが、総合診療専門医に認定されるためには、両方の研修を受ける必要があります。地域医療が重要視されてきている日本の医療業界では、欠かせない存在となるであろう総合診療医ですが、総合診療医への理解度や、その役割は病院によって差があるというのが現状です。そればかりか、本来の総合診療医としての仕事を正しく理解されず、他科が扱いたくない患者を押し付けられてしまうような病院もあるのです。しかし、総合診療医は個々の患者さんを包括的にみることができ、心身の健康を支えることができるというやりがいのある仕事です。もっとも、卒後3年目の医師の進路動向をみると総合診療医になりたい若手が非常に少ないことがわかります。おわかりと思いますが、総合診療科は体のよいゴミ捨て場となり、先生が疲弊して崩壊してしまう医療機関が多いためです。ですから、転職をする際には、総合診療医にしっかりと理解のある医療機関への転職をおすすめします。そのような医療機関を選んで研修していけば、希少価値のある存在になれるでしょう。

医療業界におけるAIと医師の転職

AIを活用して成功を収める企業が増えている現代の日本社会。癌の画像から転移があるかどうかを判定するテストで、AIが医師の成績を上回る結果を残したという報告もあり、AIをはじめとする先進技術は、今後の医療業界にも着々と導入されていくことでしょう。現在行っている医師の業務のすべてをAIがとって変わるところまでは、今のところ考えられていませんが、医療精度の向上や労働負担の軽減といった点で、AI技術は大きな活躍が期待されています。そのため、医療知識と人工知能の知識をあわせ持つ医師の必要性も出てきました。すでに、人工知能の開発のための医師の求人も出始めています。医療現場でのAI活用の流れに乗り遅れないためにも、AIに関するリテラシーを高めておきましょう。AIに関する知識や技術は、転職の際の武器にもなりますし、今後のキャリアにとって重要になること間違いありません。

まとめ

高齢者に合わせた在宅医療の推進、地域の住民の健康を総合的にサポートする総合診療医の需要の高まり、医療技術の向上と労働負担の軽減が期待されるAI活用といった、目覚ましい変化を見せている日本の医療業界。このような医療業界で、医師としてのキャリアを積み上げていくには、これらの変化に対応し、将来の見通しが立てて就職・転職を考えなければなりません。特に、今までの専門とは異なる分野にチャレンジしようとしている先生は、弊社をご利用管大。新たな挑戦のサポートをさせていただきます。

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