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医師の当直はつらいものですが、発癌リスクも上昇します

眠れない当直は当然ながら、寝当直だってきついものです。普段とは違うところで寝るだけ、違う布団や枕で寝るだけでも人間にはストレスになるのえす。当直で眠れずに仕事することは御本人がつらいだけでなく、ミスが増えるためそのような状態で治療を受ける患者さんや一緒に働く同僚・コメディカルの負担も増えるのです。

今回はそれが主眼ではなく、当直などのある交替制勤務者で発癌リスクが上昇することが明らかになったというお話をしたいと思います。

労働衛生の世界では「交替制勤務者の発癌リスクは高い」という疫学研究結果が蓄積されつつあります。しかし、医療現場では交替制勤務が必要不可欠です。そのリスクをどう評価して対策を講じるべきか。第88回日本産業衛生学会(5月13〜16日,会長=奈良県立医科大学地域健康医学講座教授・車谷典男氏)で行われた奨励賞受賞記念講演において提言がありました。

産業医科大学公衆衛生学講師の久保達彦氏は「交替制勤務は職業性曝露の中で最も頻度が高く,既知の発がんリスク因子と比べても相対リスクが大きい。個人がリスクを知らないまま曝露されていると懸念され,今後,日本でも行政裁判などの係争が起こる可能性がある」と指摘。「労働現場に無用な混乱を招かないためにも科学的根拠を備えておくこと,リスク情報とともに現場で実践可能な予防策を伝えることが,労働衛生専門家である産業医の社会的使命だ」と述べました。

医療機関にも産業医が専任されています。医師、看護師、コメディカルの労働環境を整備してリスクを減らすのが産業医の責務です。今後、夜勤と発癌の関連が叫ばれていくでしょうから、この問題に真正面から取り組んで行かねばならなくなるでしょう。経営的には難しいですが、日勤専従にする、夜勤専従にすることで交代制を無くすことも一法でしょう。

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