医局を辞めることは簡単ではないが、医師転職に与える影響は甚大である。
大学医局とは医学部教授を頂点とした組織です。病院の経営から人事システム等まで統括する立場にあります。医師が医学部を卒業して医師になり、初期研修を受け、後期研修を受けて・・・と出世の階段を登っていく際には、それが正当な街道であればあるほど、出身大学の医局に影響を受けることになってくるケースが多くなります。
「白い巨塔」ではありませんが、人が三人集まれば派閥ができるのが人の世というもの。医局があれば学閥を形成されることも多く、それが医師の転職や出世等にも大きく影響してくるものなのです。当然、それは大学病院本院にとどまらず、分院にも、一般の市立・県立病院等にも学閥はあります。医局というものはある意味、政治の世界における政党と同じであり、正統派の医師人生をあゆまれようとする医師の人生になくてはならないものと言ってよいでしょう。政党に所属していれば、ある程度自分の意見を押し殺すこともあるでしょうけれど、数は力で、自分の夢を叶えることもできます。しかし、無所属であれば、よほどの有名人でないと当選も覚束ないですし、無所属では議席があっても法案を通すことが難しいです。医師の世界も同じです。
教授になることが権力者への第一歩です。江戸時代でいえば大名です。しかし、そのポストを得るためには、論文や研究実績等が教授会で認められる必要があります。一朝一夕で教授になれるものではありませんし、いくら優秀でも現職との年齢差が少なく過ぎてもダメです。要するに、実力も大事だし運も大事だということです。
絶対的な権力で優秀な人材を集められます。そうすれば研究がさらに捗ります。また、先端医療を充実させて社会貢献もできます。一種のジャパニーズドリームです。しかし、教授のポストは限られています。全員が教授を目指していれば、夢がかなわない先生が当然出てきてしまいます。
医師も人間なので、少しでも労働条件の良い職場に転職したいと思うのは当然のことです。しかし、実際に転職するとなると、様々な困難が待ち受けています。その一つに、医局が医師転職に与える影響が挙げられます。
一昔前までは、医師が転職するということはとても厳しい時代でした。医局に属するとさまざまな成約があったからです。派閥があったり、医局員である先生が少なくなってしまえば、医局側としても医師不足になってしまって困るため、何とか転職を思いとどまらせようとあれこれ画策してきたものです。
医局員が多ければ多いほど、dutyを分散できます。特に、若手の医局員は自分たちの下が入ってこなければ永遠に雑用地獄です。よって、医局員が少なくならないように医局側は慰留を求めます。
女性医師は特に大変です。
結婚や出産を機に退職や転職に結びつくことが少なくないからです。医局側と対立しないようにするためには、日頃から医局側と円満なコミュニケーションを図ることが大切です。そのうえで大学病院の医局を辞めることが大切なのです。
しかし、簡単に医局を辞めることができない現状があるのも事実です。
医局が医師転職に与える影響は甚大で、簡単に医局を辞めることができないのです。
と言うのも、医局側としては医局員が多ければ多いほどいいからです。小さな病院ともなれば、たった一人の先生が辞めるだけでもダメージは大きくなります。
一人欠員が出たとします。欠員は補充しなくてはなりません。すぐに代わりが見つかれば良いですが、そう簡単には行きません。よって、医局側はなかなか転職をOKしてくれないのです。
医局をお辞めになる場合、退職や転職をお考えになる際、スムーズにいけば良いですが、そうもいかないことも少なくありません。医局を円満に辞めるためのコツを予め調べておくことも大切です。
まず、家族の了解を得ることは必須です。場合によっては、すぐに転職先が見つからないかもしれないからです。家族の了解を得てからはじめて、医局に退職について話すべきでしょう。この時の退職理由は、家庭の事情ということにしておくと無難です。そうすれば、スムーズに退職することができやすいからです。間違っても個人の事情ということは伏せておくべきです。
それから、一度決意したことを翻さないようにすることも大事です。医局からいい返答をもらえなかったとしてもひるまず、時間をかけて円満に退職できるように説得していくことがポイントです。
それでも円満退職が難しいというのなら、最終的には妥協も必要です。妥協案を提示することをお勧めします。