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地方の医師不足の原因は卒業生の流出である

地方の医学部を卒業した新卒の医師が都道府県内に残れば医師不足は起こりにくいのですが、残念ながらそうはなっていないようです。4月11日、日本内科学会総会で発表されたデータによれば石川県は68%、島根・鳥取・高知・秋田・青森・山梨も50%超が卒後に流出してしまうようです。これではいくら地方の医学部の定員を増やしても焼け石に水です。

今回発表された数値は1994年から2012年までの18年間の各県内医学部卒業生の累計ですから、必ずしも最新のトレンドを反映しているとは言えません。例えば、秋田県は新卒医師の流出対策に力を入れており、最新のデータでは秋田県外流出率は50%を切るようになっています。 同様に、青森県も流出に歯止めをかけつつあります。

地方の医学部を卒業してそこにとどまっていただくには、地元の学生を入れる(地域枠)ことも有効でしょうし、残った場合に何らかのインセンティブを与えるような制度を考えるべきでしょう。

医師養成:7県で半数以上流出 育てた医師定着せず 
毎日新聞 2015年04月12日 
http://mainichi.jp/select/news/20150412k0000e040158000c.html 


 地元の大学で養成した医師のうち、全国7県で半数以上が他県へ流出していることが慶応大などの研究チームの調査で分かった。多くが千葉や埼玉、兵庫など大都市近郊の都市へと流れたとみられる。チームは「大都市近郊で医師の養成率を上げない限り、地方の医師不足問題は解決できない」と指摘する。 
 慶応大医学部5年の岡田直己さんらは、47都道府県別に、1994年から2012年までの18年間に医学部を出て国家試験に合格した医師の数を累計。実際にこの間に増えた医師数と比較し、増減を人材の移動とみなした。 
 その結果、養成した医師のうち他県へ流出した割合が最も高かったのは石川で68%。島根、鳥取、高知、秋田、青森、山梨も含め計7県が50%を超えた。地方からの流入が多いと思われていた東京は、養成数の16%にあたる医師が他県へ流出していた。 
 一方、地元で養成した医師と比べたときの流入した医師の割合が最も大きかったのは千葉で232.3%。続く埼玉も、養成した医師の倍以上の流入があった。両県とも人口は多いが、医学部を持つ大学は1校しかなく、地方で養成された人材を吸収している構図が浮かんだ。 
 岡田さんは「医師不足は大都市近郊での対策が重要なカギを握る。医師は地方から大都市の東京ばかりに集まるわけではないと、認識を改める必要がある」と指摘する。 
 研究成果は、11日の日本内科学会総会で発表された。【河内敏康】 


<養成された医師のうち、県外に流出した割合> 
(1)石川 68% 
(2)島根 58.9% 
(3)鳥取 56.4% 
(4)高知 54.4% 
(5)秋田 53.9% 
(6)青森 53% 
(7)山梨 51% 
(8)福井 49.2% 
(9)徳島 46.9% 
(10)佐賀 44.8% 


<養成した医師に対する流入した医師の割合> 
(1)千葉 232.3% 
(2)埼玉 225.6% 
(3)兵庫 72.7% 
(4)静岡 68.3% 
(5)広島 57.3% 
(6)茨城 40.9% 
(7)宮城 36.1% 
(8)岐阜 33.5% 
(9)神奈川 32.3% 
(10)長野 23・8% 
※上位10県 慶応大など調べ 

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