刑務所に医師が勤務していることは、一般的にはあまり知られていません。
刑務所に勤務する医師は、法務技官と呼ばれる国家公務員の身分になりますが、医師免許を持っていれば診療科は不問です。公務員医師のアルバイトの制約が痛いですが。
医師の募集は法務省が行い、誰でも応募することができます。医療刑務所は東京・愛知・大阪・福岡の4ヶ所で、循環器や精神疾患の受刑者が収容されていることが多いので、循環器や精神科の医師が募集されています。
御興味をお持ちの先生は法務省のホームページを御覧下さい。
どの刑務所でどんな募集があるかが掲載されています。矯正医官は国家公務員です。勤務地は全国の刑務所・拘置所・少年院・少年鑑別所・医療刑務所・医療少年院から選ぶことになります。
法務技官として行う業務は、被収容者の診察・治療・健康管理です。
行われる内容そのものは一般的な医療機関での診察と同様です。しかし、診察の対象が受刑者に限定される点が異なっています。診察する対象が受刑者ですから、診療における制約がある点など、診察の流れは一般の診察とは異なります。
刑務所の中での診察は、医務課診療所と呼ばれる場所で行われます。残念ながら、一般的な医療機関のように最新設備が備えられているとは限らないのです。心電図やエコー・胃カメラ・レントゲン等はありますが、それ以上の精査を求められる症例となれば対応困難となってしまいます。医療刑務所や医療少年院に送致することになります。
待遇面に関して言えば、国家公務員扱いのため一般的な意味においての医師の待遇としての額面は多くはない。その点については御理解頂ける先生でなければ勤務が難しいでしょう。刑務所の種類や年齢・地域など、公務員の規定によって報酬は決められています。地域差がありますが、平均で月収40万円~70万円。年収にして1,000万円~1,200万円。残業手当や住居手当など各種手当が付きます。毎月1回~2回の当直があり、休日は土日祝です。
給料の額面を見てしまうとガッカリされてしまうかも知れませんが、公務員という安定した身分が保証されます。週1日~2日の研究日もあり、学会へも出席することができます。
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