ハンガリー国立大学に行って日本の医師免許を取る裏ワザ
こんな方法があったのか。
2013年10月18日発売のプレジデントファミリー。表紙で「我が子を医学部に入れる!」と高らかに宣言。第一章が「9歳からのロケットスタート編」で、小学生を四谷大塚に通わせる親がターゲットと思われます。
今回の目玉はタイトルに記した通り海外国立大学から日本の医師免許が取れるというお話でしょう。
ハンガリー国立大学医学部の話が紹介されています。ハンガリー国立大学医学部では、ハンガリーの医師国家試験に相当する卒業試験に合格するとハンガリー医師免許が与えられます。それは同時にEU28ヶ国で通用する医師免許でもあります(実際に個々の国で医師をするには個々の国の語学試験をクリアする必要あり)。折しも、この2013年6月に6年生7名全員が試験に合格したようです。
話はこれで終わりません。日本の医師免許の取得を目指す卒業生(実際のところ、ほぼ全て日本人でしょう)は、日本の厚生労働省に認定書類を提出し、2014年2月の日本の医師国家試験を受験することになります。日本の医師免許を取得することにより、ほぼ同時期に日本とEUの2地域の医師免許を取得することになります。
海外の医学部卒業者であっても、診療能力や大学の成績などを審査する「認定制度」を利用すれば医師国家試験や、その前段階の予備試験の受験資格を取得できます。海外大学は学費が国内の私立大より安い上、全科目で好成績が求められる国内入試より入学しやすい面があり、留学を選択する学生は徐々に増えています。
厚生労働省によると2014年の認定者(外国人を除く)は43人で、2001年の8人の約5倍に増えています。生活費が安く、留学仲介会社がある中国や東欧への留学生が大半です。当初は社会人や浪人生が多かったのですが、最近は現役生も増えています。
日本国内ではまだ市民権を得ていない医師免許取得法ですが、
日本の国立大学に入るのは学力的に難しい、かといって私立大学に行くほどの経済的余裕は無いという層には魅力的な選択のようです(学費+渡航費+生活費を考えても私大に通うより安価)。
世の中は絶えず変化しています。90年代にはまだ日本の医学部以外に行くなど考えられませんでした。英語で医学教育を受けるなんてまっぴらだと思っていました。日本で医師として一生を終えることに何の疑問も抱かずに済んだ時代でした。
EUの拡大で、東欧で安価に取得した医師免許がEU全域で使えるようになるなんて誰が想像し得たでしょうか。また、日本の医師免許を取れば日本とEUの両方で通用するようになるなんて。
もちろん、EUに行けばバラ色というわけではないでしょう。既に東欧の医師は競ってドイツに流入しています。ヨーロッパ生まれの彼らに日本の高校卒の日本人が容易に伍していけるとは思いません。不景気の欧州では排外主義が蔓延して、日本人医師は恐ろしくて診療できなくなるかも知れません。
それに、日本の大学には日本国内での揺るぎない地位があり、学閥もあります。日本の社会で医師として成功したいなら日本の医学部に行くべきという根強い意見もあるでしょう。
医師の人生、価値観は十人十色です。どれがベストというものはありません。個々人の価値観に合ったキャリアプランを構築すべきですが、その選択肢が増えるということは良いことだと改めて思いました。
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