アルバイト医師の健康保険
常勤医として勤務医をしていた先生がアルバイトだけで生計を立てていく場合、これまで加入していた健康保険から脱して、新たに健康保険に加入する必要が生じます。
その場合、以下のような選択肢があります。
・以前の職場の健康保険を任意継続する
・国民健康保険に加入する
・医師国民健康保険に加入する
以前の職場の健康保険組合や在住自治体によって、任意継続や国民健康保険のコストには差があるでしょうが、ほとんどの場合で医師国保の方が安いはずです。また普通の国民健康保険より医師国保の方が有利なことが多いのです。
国民健康保険の年間保険料の上限は、東京都23区(平成24年)の場合、医療分51万円+後期高齢者支援金分14万円+介護分12万円(40歳~64歳のみ)で、合計65万円(40歳~64歳は77万円)です。国民健康保険に加入しているフリーター医師の大多数はこの支払い額になっているはずです。自らは医療機関を受診する機会が少ない若い先生には非常に割高になっています。
一方、医師国保の場合は定額制です。例えば東京都医師国保の保険料は下記の通りです。
平成24年東京都医師健康保険組合保険料(年額)
医療分 24.6万円
後期高齢者支援金分 3万円
介護分(40~64歳のみ) 3.6万円
合計 27.6万円 (40~64歳は31.2万円)
この他医師会費として数万円(例:東大医師会B会員42000円)がかかりますが、それを加えても通常の国民健康保険の半額以下です。大学院生で、アルバイト生活の方は大学医師会経由で医師国保に入った方が絶対にお得なのです。 将来フリーランス医師になりたい先生は、大学に籍があるうちに大学医師会に加入しておくか、大学病院を辞める時に研究生や非常勤医として医局に籍を残しておいてもらい、大学医師会経由で医師国保に加入することをお勧めします。大学院生時代にこの制度をご存知なく、国民健康保険で過ごして高額の保険料を払っている先生が多いのです。大学院入学と同時に医師国保に入っていれば毎年数十万円節約できるはずです。
大学院を終了した先生(ポスドク)が大学経由で医師会に加入されているケースを散見します。助教などのポストも得られておらず、基本給がなくアルバイト生活の先生には、大学医師会に入り、医師国保に入る選択肢があるのです。
なお、地域の医師会に個人で加入することも可能ですが、コストがかかります。例えば東京都中央区医師会の場合、正会員は入会金60万円、年会費10万円と記載されています。ただ、準会員は入会金10万円、年会費4.32万円で比較的リーズナブルです。準会員の入会資格は複数ありますが、中央区に住んでいて中央区の医療機関に勤めていない医師なら申し込めるようです。興味のある先生は医師会へお問い合わせください。
最後にひとつ大きな問題が残っています。フリーランス医師の医師会への加入方法です。 個人で医師会へ加入するのは難しいのですが、フリーランス医師の場合は非常勤勤務先が複数ある場合があり、条件の良い医師会への入会を検討すべきです。勤務医会員でも入会金を取る医師会もあります。
国民健康保険はある程度の収入があると、すぐに最高額の年間53万円に達してしまい、自らは医療機関を受診する機会が少ない若い先生には非常に割高です。一方、医師国保の場合は定額制:2010年12月現在の東京都医師健康保険組合の保険料は、毎月17,000円(年間204,000円)です。それに医師会年会費を加えても多くの場合割安と言えるでしょう。読者の先生方は各自治体で所得に応じたシュミレーションなさってみて下さい。
大学院生で、バイト生活の方は大学医師会経由で医師国保に入った方が絶対にお得です。
将来フリーランスの医師になりたい先生は、大学に籍があるうちに大学医師会に加入しておきましょう。そうすれば脱医局した後でも容易に医師国保に加入できるはずです。
フリーランス医師への転身をお考えの先生、まずはお気軽にご相談ください。