向精神薬の他剤処方制限
向精神薬の大量処方を制限するという話が唐突に出てきました。精神科の先生はお困りだろうと思います。
「抗不安薬か睡眠薬を3種類以上、または、統合失調症の治療に使われる抗精神病薬か、抗うつ薬を4種類以上、1回で処方した場合、診療報酬を請求できなくし、処方箋料も減額する。」
と言うのはいかにも過激です。外来でものすごく数の向精神薬を盛られている患者さんをよく目にします。心療内科にかかっている患者さんのお薬手帳を見るとびっくりすることが多いです。
穿った見方ですが、転売目的で詐病で外来受診する患者も少なからず存在します。そういう患者を減らそうという目的なのではないかと思います。しかし、本当に必要な人が困ってしまいます。
ご安心下さい。ちゃんと例外が設けられています。
※ただし、以下の場合は向精神薬多剤投与として扱わない。
(イ) 他の保険医療機関ですでに、向精神薬多剤投与されている場合の連続した6ヶ月間。
(ロ) 薬剤の切り替えが必要であり、既に投与されている薬剤と新しく導入する薬剤を一時的に併用する場合の連続した3ヶ月間。
(ハ) 臨時に投与した場合。
(ニ) 抗うつ薬又は抗精神病薬に限り、精神科の診療に係る経験を十分に有する医師(※)が処方した場合。
※臨床経験を5年以上有する、適切な保険医療機関において3年以上の診療経験を有する、相当数の主治医として治療した経験を有する、精神科薬物療法に関する研修を修了していること等の要件を満たす医師をいう。
向精神薬、多剤処方を制限 診療報酬認めず…厚労省、新年度
読売新聞 2014年3月7日
厚生労働省は新年度から、抗不安薬や睡眠薬などの向精神薬を数多く処方した場合、診療報酬を原則認めない仕組みを導入することを決めた。薬物依存や重篤な副作用を防ぐ狙いがある。
新ルールでは、外来診療で服薬管理などをする際、抗不安薬か睡眠薬を3種類以上、または、統合失調症の治療に使われる抗精神病薬か、抗うつ薬を4種類以上、1回で処方した場合、診療報酬を請求できなくし、処方箋料も減額する。
また、入院患者に、副作用が少ないとされるタイプの抗精神病薬を処方する場合も、2種類までしか加算できないように改める。
抗不安薬や睡眠薬としてよく使われるベンゾジアゼピン系の薬剤は、使用し続けると薬物依存になる危険性がある。
抗精神病薬は一定量を超えると治療効果は上がらず、手の震えや体のこわばりといった副作用の危険が高まり、突然死することもある。国内では、抗精神病薬を3剤以上処方している割合が海外に比べて多い。