医師が医局を辞めて転職するということ。
初期研修を終えた後、後期研修などのプログラムを終えた後、学位を取得した後、専門医を取得した後など、大学病院で一通りの教育を受け、一人前の医師としてどこでもやっていける自信が持てるようになると退局を考える先生が増えます。円満に大学病院の医局を辞めることが大切なのです。
医師として働くかぎり、医局が圧倒的な存在となります。大学医局というのはピラミッド構造になっています。教授や准教授になれるのはほんの一握りの医局員で、残りのほとんどはサラリーマンで言う平社員にあたる医員です。年功序列ですから若手抜擢はされにくい組織です。医局の方針として、ご自分の大学に在籍しながら地方の病院で臨床を学んでもおうという狙いがあり、若い医局員ほど医局派遣で関連病院の遠いところに飛ばされる傾向があります。派遣される医員は、次はどこに飛ばされるかわからないという不安定感があるため、一定の年齢になると医局を辞めて、ほかの病院に転職し安定した生活をしたいと思うようになってくるのです。
では、医局を辞めるとどうなるのでしょうか?
昔は医師の転職情報という物自体、情報を得ることが難しく、医師が自力で転職することはとても難しいことでした。しかし、現在ではインターネットの普及もあり、多数存在する医師紹介会社に登録をすることで、仕事の斡旋が受けられるシステムが整っています。
良くも悪くも医局ありきの時代と比べると、格段と医師の転職状況は良くなっていると言えるでしょう。
しかし、いくら転職情報を知ることができるようになっても、医局が大きな力を持っていることには変わりはなく、医局を辞めることで、その後の医師人生に不利になることが発生する場合もあります。
また、医局の辞め方にも細心の注意を払わなければいけないのも相変わらずです。無理に医局を辞めて、医局と気まずい関係になるのは避けたいところです。医局側も医局員を減らしたくないと思っています。特に若い医局には辞めてほしくないというのが本音でしょう。医局を辞めると言ったら遺留された。これは上下関係の厳しい組織の鉄則です。自分より下の構成員が減るのを喜んで傍観する責任者などいないでしょう。逆に「どうぞどうぞ!」と言われた場合は先生に難があると思います。
教授に辞意を伝える場合には、様々な辞職引き止めに合う可能性もあります。すべて円満に辞職をするのは難しいかもしれませんが、できるだけ波風立てずに、円満に医局を辞めたいものです。