5月17日の日本経済新聞朝刊1面を飾った
「新薬選ぶ患者、後発薬との差額負担 医療費抑制へ 政府検討 製薬業界の反発必至」
のタイトルに衝撃を受けられた医療関係者は多いでしょう。
特許の切れた先発品(=長期収載品)の薬価を後発医薬品と同額まで引き下げることで、医療費の支出と国民の負担を最小限にすべきだという意見はこれまでも何度も出ては消えを繰り返してきました。今回はそれに加えて先発品薬価と後発品薬価の差額を自己負担とするところにまで踏み込んでいます。1999年に白紙撤回となった参照価格制度の導入を彷彿とさせます。
政府はこのプランを6月末に纏める財政健全化計画で歳出抑制策として盛り込む考えです。患者が安い後発薬を選ぶよう促し、医療費を抑える狙いがあります。ただ、特許切れ新薬を抱える製薬業界が反発するのは確実ですから、調整は難航することも予想されます。
このような話が持ち上がるのは、日本の後発薬の普及率が欧米主要国と比べてまだまだ低いからです。政府はこれまでも後発薬を後押しするためにさまざまな施策を行なってきました。しかし、増え続ける医療費の伸びを抑制するにはもっと大胆なやり方が必要とされていることは間違いありません。
それで今回、長期収載品を選ぶ患者に負担増を求めることで、患者が自己負担の軽い後発薬を積極的に選ぶよう誘導することにしたわけです。