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医局の復権

2004年の卒後臨床研修必修化以降、大学医局の医師派遣機能は低下傾向が続いています。
しかし最近になって医局の復権が叫ばれるようになって参りました。10年間の長いトンネルを抜けて、2015年は医局制度復活元年になるかどうかが試される年になります。
2004年の新・臨床研修制度発足以降、崩壊を起こした大学医局が多数みられました。大学病院で研修する研修医が減った結果、大学病院内が極端な人手不足に陥ってしまいパニック状態に陥る事態が各地で相次ぎました。そのような医局に於いては派遣先の病院から医局員を引き揚げる事態に発展しました。それが地方の医師不足に拍車をかけることになり、各地でセンセーショナルに報道されたのは皆様ご記憶のとおりです。

ただし、大学医局の衰退の原因は、研修医が入らなくなったことだけでなく、若手から中堅クラスの医局員が多く辞めていることも大きいのです。その原因の一つが、04年の国立大学の法人化です。国から国立大学への補助金が年々削られることになり、大学は一層の経営努力を迫られました。

研究成果をより多く出し、同時に診療報酬もより多く稼ぎなさいということになりました。科研費は自分で取って来いということになり、同時に以前よりも長く診療に従事しなければならなくなり、そのしわ寄せが医局員に降りかかってきたのです。臨床業務以外の雑用がたくさん降ってくる一方で、研究・論文執筆に時間を割き、遅くまで病院に残ることになりました。安い給料で長時間労働を強いられていることになったのです。

QOLが下がった医局員達は
「もう、やってられるか!」
ということになり、次々と医局を去って行きました。

医局の凋落の始まりです。

大学に来なくなった研修医は市中病院で初期研修をするようになりましたが、後期研修やその後はそこに残れません。有名病院、ブランド病院で初期研修もしくは後期研修をすることはさほど難しくないものの、そこに後期研修以後に残るのは非常に難しいということがだんだんはっきりしてきました。それもそのはず、そういうところは強い大学がしっかり押さえているからです。優秀だけれども有名病院にポストを得られなかったのです。

結局、美味しいポストは大学の仲間でガッチリ押さえてしまう。そういう人間関係は容易に崩せないものです。これが邪魔して、医局制度の支配を崩すことはできませんでした。

このような、市中病院で研修したけれども良い病院に残れなかった層がだんだん増えてくると、大学医局がこれらの層を競って獲得しようとし始めました。今までのやり方ではダメだと気付き、悪いところは自己変革して魅力のある医局になってきました。

このような自己変革できた医局は近年コンスタントに若い入局者を後期研修を始める時点で獲得できるようになりました。これがいわゆる「医局の復権」です。

すべての医局が復権したわけではないところに注意が必要です。
自己変革できた医局は生き残り、むしろ力をつけています。自己変革できなかったところはより凋落を見せています。臨床研修制度は医局ごとの優勝劣敗を鮮明にしたとも言えます。

こういう「良い医局」に選んで入ること、そういう医局を無闇に辞めないこと。
これからの若い医師にはそういう視点が求められます。
  • B!