医局に頼らず生きていく。独立自尊の考え方が大切です。
日本の国立大学の研究力の地位低下が著しい。
ただでさえ、国立大学の運営交付金は年々漸減させられていく。
2010年の大学などへの研究費総額は米国が約6兆円、日本は2兆円だが、うち企業や非営利民営機関からの資金は米国8千億円に対し、日本は700億円に過ぎないのである。
国立大学の先生は、「外部資金を取ってこい!」とさかんにハッパをかけられるが、そうも言っていられない。附属病院で稼ぐことを求められているからだ。
「中小国立大学医学部の研究力が低下している」と嘆くのは、三重大の豊田長康元学長。独立採算となった付属病院経営に力を割かれ、臨床医学の論文が激減したという。
旧帝大を除けば、多くの国立大学医学部の研究室はこの問題に頭を抱えているに違いない。
医局に入っても、附属病院で兵隊として稼ぐことを強いられ、夜は研究室で少ない資金を元手に頑張るという、敗色の濃い戦いを強いられる可能性が高いのである。臨床をバリバリやりたいのなら、研究で疲弊させられないだけ一般病院の方が良い。
これから医師になる若い先生は、大学という大船に乗っていたつもりだったけれども、実はそれは泥舟で一蓮托生で沈むだけという運命が待ち構えている可能性が一段と高まる。よって、医局に頼らず、自分の力で将来を開拓していく気概が一段と求められるのである。