研修医の間で精神科希望者が増えているようです。
付き合いのある医師紹介会社の話では、入職希望登録医師のかなり高い割合を占めていると聞きます。
決して悪いことではありません。精神病患者は増える一方ですから。
しかし、その多くが
「精神科は楽だから」「精神科がブームだから」と考えているとしたら問題です。
精神科は精神科救急を除けば救急車の対応や夜間呼び出しなどとは無縁の世界です。スーパーローテート中の研修医からすれば夢の様な環境に見えるのかも知れません。また、長期安定してしまっている長期入院患者などの対応はごく最小限で済んでしまうのも事実です。
嘗て「牧畜業」とも言われたこともありましたが、9-17時勤務とはいえ実働30分の精神病院は珍しくなく、楽なのは大筋で間違いありません。しかし本当にそれで良いのでしょうか。
昔、ある精神科の先生からこんな言葉を聞いたことがあります。
「精神科医は報われないよ。患者に感謝の言葉を掛けられることはまず無い。」
「良くなって社会復帰した人は、街なかで私に会っても(精神科の患者だったことに引け目を感じ)目を合わさずに避けていく。」
「良くならない人はそもそも会話が成立しない。」
こういうことを受け入れなければならない精神科医の話に衝撃を受けたものでした。ブームだからといって安易に精神科を選ぶのは慎重にならなければならないでしょう。
現に、精神科に入局したものの勤務していくうちに自分のイメージと違ったという若手を何人か知っています。
精神科医はまだ不足していますが、募集しているのは実は指定医ばかりです。ところが研修医が急激に増えてしまい、東京周辺の精神科病院においては研修医の希望が殺到し募集を締め切るところが多数出てきているようです。
指定医は美味しい存在ですが、現在精神科に殺到している研修医が中堅になる頃には指定医余りが起きてしまうのではないかと危惧するところです。
精神科に興味のある若い医師は本当に自分に適性があるのか、将来必ず起こるであろう精神科医余りを受け入れ、それでも精神科医をやりたいのか真剣に検討されたうえ決断されることをお勧め致します。
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