医師のフリーランス化とは?
研修医制度が始まってから、様々な医師が協力して新人医師の教育に携わるようになりました。看護師に対応するプリセプター制度が整ってきたのです。研修医がいるということは、当然指導医も必要です。もちろん、全ての大学病院で指導医がいるわけではありません。そのため、医師は縦のつながりと同時に、横のつながりも積極的に利用しようと考える様になります。
医師には医師の人脈しかありません。それだけ狭い世界に生きていること、相当な勉強量を10代から20代いっぱいし続けていかねばなりません。結果として近い将来に自分がどういう医師生活を送るのかがだんだんと予想できるわけです。
県立病院の小児科に勤務しているのだが、多忙すぎて疲れてしまった…、呼吸器科医として中核病院に勤務しているが、オンコールがしょっちゅうかかり、自宅でも休んだ気がしない…過疎地域の国立病院勤務は、老人患者が多く、医療機器の新設もなく、病院自体も老朽化が進んでしまっている…など、なかなか医師としての魅力が薄れてしまう職場情報が溢れてしまっています。
そこに、ここ7、8年からの「麻酔科ブーム」が始まりました。麻酔科医は診療報酬単価が低く、オペの際にしか仕事はありません。執刀自体も外科に限られており、いつオペが行われるのかわからないため、収入の保証もない、といった有様だったのです。
医師のフリーランス化がもたらすもの
ところが、医療技術の革新によって、手術が簡単に、非常に多くなってきました。循環器内科や脳外科の手術は、危険が伴う分野でしたが、外科用スコープはデジカメに使われCCDが活躍しており、超音波エネルギーデバイスの開発が非常に進んでいます。つまり、10年前に比べ、手術の頻度が飛躍的に高まったのです。
結果、麻酔科医が不足し、各病院とも自前の麻酔科医を確保できなくなりました。そのため、自ら人脈を辿って病院と契約し、アルバイト麻酔科医(フリーランス医)を行うケースが増えているのです。彼らは単発で契約するため、1万円/時といった歩合で働きます。もし10時間なら、10万円ですから、月間10日勤務すれば、年間1200万円。決して悪い話ではありません。
特に、夜勤だけを勤める病棟医師などは、時給4万円というところも少なくありません。転職エージェントもこういった案件をかなり抱える様になっており、フリーランス医として重宝しています。ただ、フリーランス医は自分から常にスキルアップの努力が欠かせませんし、コミュニケーション能力が豊かであることが重要です。