医師が転職前に準備すべきこと
転職を失敗しないために
医師が働くうえで会社員やサラリーマンとは異なる点が2点あります。
1点目が収入です。これは毎年厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」からも医師の年収が他の業界を大きく上回っていることはお分かりいただけるでしょう。医師の平均年収は1000万円を上回っていますが、これは業界平均よりもやや高い水準です。開業医ならもう少し高いでしょうが、勤務医の場合でも常勤で最低1000万円は超えるでしょう。
そしてもう1点が労働時間です。医師の年収は確かに高いものの、患者さん相手の仕事である以上、どうしても勤務時間も長くなりがちです。さらに症例や治療法について調べたりということになれば、仕事外の時間帯であっても仕事に関わることに時間が取られてしまいます。
・年収を上げたい・もう少しプライベートの時間が欲しい・家族と過ごす時間を作りたい・開業に向けてもっと経験を積みたい・地元で働きたいなど、転職を考える時、きっかけとなるのは上記以外にも色々あると思います。家族がある女性医師であれば、子どもの教育のため、家族のために時間を作りたいという先生もいらっしゃるでしょうし、開業を考えている先生であれば、早くから経験を積んで専門医を取得し、技術を身につけておきたいという先生もいらっしゃるでしょう。
しかし、いざ転職活動を始めてみると、数多く寄せられる求人を見ていくうちに、あれも気になる。これも気になる・・となってしまいがちです。例えば「給与条件」「労働時間」「休み」「症例数」・・求人を見ているだけで色々な条件が記載されていれば、目移りしてしまうのも仕方ないといえば仕方ないのですが、あれもこれもと考えていると、大抵の転職活動は失敗に終わります。そして仮に転職できたとしても、また転職活動を始めることになりかねません。一言で言えば、「転職を失敗する」ことになるのですが、この転職の失敗を避けるために、医師が転職活動を始める前に準備すべきことは何でしょうか。
最初に「なぜ転職するのか」を考える。
転職するということは、今現在の勤務状況や勤務条件に何かしら「不満」があるということです。その「不満」を解消することをために、転職という手段を使い、「不満」がない勤務状況、勤務条件のところに移るわけです。ということは、転職活動を始める前に、この「不満」が何なのかを自分自身の中で明確にしておく必要があります。例えば、先ほどの例として挙げた家族がある女性医師の場合、子どもがいたりすれば保育園の送り迎え、食事の準備、中学生や高校生ともなれば、塾や今後の進路のためのサポートなどで仕事以外の時間が必要になったりすることがあります。そのような場合、転職を考えるのであれば「もう少し休みが欲しい」「早めに帰れる勤務形態が良い」といった条件を転職先に求めることになります。この転職先に求める条件の裏返し、つまり「休みが取れない」「遅くまで働いている」ということが現時点での不満です。そして、この不満を解消するために転職活動を始めることになります。ところが、勤務医の場合、一般のサラリーマンや他の業界と異なり、年収はそれほど低いわけではなく、また勤務形態も常勤や非常勤だけでなくアルバイトなども比較的選びやすい世界です。そのため、求人票を見ると、つい他の条件に目が行きがちになってしまい、元々の不満を解消することなく転職先を選んでしまう傾向があるのです。そうなると、元々考えていた「休み」や「労働時間」の不満が解消されず、結局再び転職活動を・・ということになりかねません。だからこそ「なぜ転職するのか」をしっかり考え、それを自分の中で明確にしておく必要があります。
転職理由はひとそれぞれ。自分の今の環境や仕事の状況を振り返る
転職理由というのは本当に一人ひとり異なります。
・地元を離れて働いている先生・結婚して子供がいる先生・とにかく一つでも多くの症例をこなし、経験を積み上げたいと考えている先生など、一人ひとりおかれている状況も違えば、年齢や経験も違います。取り巻く環境も異なります。
だからこそご自分の転職理由は何なのか、今の環境や仕事の状況などを振り返り、「なぜ(自分は)転職するのか」を考えておく必要があるのです。もちろん「給与」「休み」「勤務時間」「症例数」など、色々転職を考えるにあたり、気になる条件というのがいくつか出てくることもあるかもしれません。それはそれで構いませんが、それらをすべて網羅する完全無欠な求人というものはなかなか無いものです。また出てきたとしても、そういった求人は他の医師にとっても魅力的なものですから、すぐに埋まってしまいます。
そこで、複数の転職を考える条件がある場合は、それぞれの条件で優先順位をつけておくことをお勧めします。
優先順位をつけていけば、最も優先順位が高くなるものが今回の転職で解消したい「不満」となり、2番目の条件があわせて解消したい「不満」となります。
だいたい2~3個程度であれば、うまくいけばそれらを解消できる求人に出会えるはずです。
まとめ
①今の仕事の環境、家族などの取り巻く環境から自分が「なぜ転職しようと思っているのか」、今の何に「不満」を感じているのかを明確にする。
②「不満」が複数ある場合、それぞれの「不満」に対し、優先順位をつけておく。
③②でつけた「不満」への優先順位で高いものから解消できる求人かどうかという視点で求人を見ていく。
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