医局をスマートに辞める方法
2004年4月から新しい医師臨床研修制度(いわゆるスーパーローテート)が導入されました。それ以降の研修医は、医師になる段階で、マッチング制度により自分の行きたい病院を選択することになるので、自分の勤務%先を自ら選ぶことにそれほど抵抗は無いのかも知れません。この制度が導入される前の医師は、医学部を卒業後にいずれかの大学の医局に属し、大学病院および關連病院を教授の命令通りに転勤するという労働慣行が機能してきました。
医局を辞めた先輩医師の退局理由
長年、医局に属していると色々な不満が出てきます。医局を退局した医師106人を対象に退局、退局理由をたずねた調査では、最多だったのが「意に沿わない異動」で、31.9%の52人でした。次いで「雑用が多い」が28.2%、「閉鎖的な人間関係」が27.0%でした。その他20%を超える理由として、給与待遇の低さ・封建的な体制・長時間労働・特になしなどが挙がっています。
医局を辞めることへの不安
医局人事ベースの人生設計しか知らない医師にとって、医局を辞めることはかなりの不安を感じると思います。
医局を辞めたら、診断や治療に困る患者さんを送る(紹介する)先がなくなるのではないか。どこかの病院に就職したら、(その病院の)医局からの派遣医師を引き上げられるなどの、嫌がらせを受けるのではないか。次の医師を派遣してもらえないと、今いる患者さんをどうすればいいか。
などなど・・・
これらの不安を払拭する方法としては、出来るだけ円満に医局を辞めることです。
ただし、「結婚するより離婚するほうが大変」と言われるのと同様で、確かに、医局を辞めるのはとても大変です。
医局を辞めることを伝えたときの教授の反応と対応策
医局を辞める決心をした医師が必ず行わないと行けない事が、医局組織トップである教授に直接の医局を辞めたいという意思を伝え、許可を得ることです。特に、スーパーローテートにより地方大学は医局員がかなり激減したこともあり、教授は医局員の数をできるだけ減らしたくないと考えています。教授の人柄もありますが、かなりのプレッシャーをかけられる場合もあります。どう喝、脅迫まがい、泣き脅しだけでなく、逆にポストや留学などアメを呈示してくることもあります。最悪の状況を想定して教授との面会に望んだほうがいいと思います。思いのほかあっさりと退局できることもありますが。まずは恫喝です。対応策はひとつ、じっと耐えることです。下手な返答口答えをするとヒートアップしてしまいますので、「これだけ怒ってくれるのは自分の事を大切な駒と考えてくれているのだ」と感謝しつつ、耐え忍んでください。人は30分以上怒り続けることはできません。泣き落としもあります。「君にやめられると医局が困る。」「君にはうちの医局を引っ張っていって欲しいと思っている。」など、涙ながらに退局しないように引き伸ばしを図ってこられることもあります。長年一緒に働いてきた情もあり、怒られるよりも断りにくく、実際に医局を辞められなくなった人もいます。さらには、海外留学や地方病院勤務から本病院勤務に戻すなど今より条件のよい就業環境を提示することで引き止めにかかるケースもあります。確かに医局員の中には、こういう交渉で海外留学や自分の待遇を良くしようとする人もいます。ここでは、交渉手段として退局をチラつかせているわけではないこと、退局しないといけない確固たる理由があることを伝えることです。
上手に医局を辞める、オススメの退局理由
では、退局理由はどういったものがいいのでしょうか?
退局理由として、「単純に激務につかれた」「僻地での勤務が嫌」「マイペースな職場で仕事がしたい」「人間関係が嫌」「雑用が多い」など、素直な思いを口に出来ないことも多いですね。
「他の診療科の勉強がしたくなった」とか「スキルアップ」とか「開業したい」などの、もっともらしく聞こえる理由についても、「自分勝手な退局理由で裏切って辞めていった」と言われかねません。
一番良い方法は、「他人が否定反論し難い個人理由」を利用することです。
女性医師の場合は、結婚や出産、夫の転勤などがベストです。これらの理由は、他人である教授にとっては「そこをなんとかならないのか?」と言われますが、「そんなことどうでもいいだろ」とはなかなか言えませんものね。また、こういう他人にとっては否定反論できない個人的理由の利点は、根も葉もない悪い噂にも繋がる危険が少ないことです。男性医師の場合は、こういった理由を前面に出して戦うことは難しいです。
①両親の介護のため
よく使うのが、「両親の介護のため」です。ただし、両親が近くに住んでいない場合に、地元の病院に転勤するならいいのですが、出身大学の力の及ぶ地域での転職を考えている場合には、更に色々なストーリを作りあげないといけません。「両親をコチラの介護施設に入所させる予定にしている」とか、「呼び寄せて同居する予定にしている」など・・。ただし、医局の圏内での転職の場合は、親の介護は医局をやめないといけない理由にはなりにくいと思われます。「早く帰られないと行けないときには医局員同士で協力していくから」とか「比較的負担の少ない病院に転勤させてあげるから」とか妥協案を出されると思います。
また、介護のためという場合には、「認知症が出てきた」「○○の病気になった」ということを医局の中で話しておいたり、介護の為の時間確保やお金が大変だとか、妻が自分の親の介護をしてくれないなどと医局員に相談したり、愚痴を言っておくなど伏線を敷いておくといった演出も必要です。
転職後の職場については、隠していても専門医名簿などから簡単に検索されます。
②身内の健康上の理由
次によく使う理由は、健康上の理由です。実際に病気でないと本人が病気と言うのは嘘がばれやすいので、身内の健康上の理由がベターだと思います。
③診療所を引き継ぐため
本人の親や配偶者の親が開業している場合には、家業を継ぎたいは比較的にスムーズな退局理由になりやすいです。ただし、両親が年老いてきて、診療に支障が出てきているのでそろそろ継がないといけなくなったと伝えたほうが良いと思います。
④新規開業を理由に円満退局は難しい
新規開業の為の円満退局はなかなか難しいことが多いです。別の理由で退局してから、別の職場をワンクッション入れてから開業する方法がありますが、新規開業で大変な患者さん確保が難しくなります。
奥さんが医師の場合は、医局を辞めやすい妻に開業してもらい、「経営がうまく言っていないので手伝わざるを得ない」といった理由を教授に言ってから、外来患者さんを引き連れて行くという面倒な方法をとることになります。
退局には家族の協力が大切
医局を辞めようと考えていることを配偶者には相談していると思いますが、家族にも医局を辞めることがどんなに難しいかを説明して、こういう理由でやめたいと教授に言おうと考えていることも伝えておいて、配偶者や家族から嘘がばれないように口裏を合わせる必要もあります。
教授・医局長の引き伸ばし工作に注意
1年後の退局を認める代わりに、不人気の僻地に赴任するように言われるような、交換条件を出されれこともあります。また、今(半年後)の退局は困るので、1年後にして欲しいといわれることもあります。ただ単に時間の引き延ばしの場合もあります。ただし、引き延ばしの場合には前例があるとおもいますので、以前に退局された先生に痛い目が合った人がいないか先に情報入手しておくことが大切です。
退局意思を固めて、教授に医局を辞めたいと伝える頃には、次の職場(転職先)をある程度決めておいたほうが良いと思います。「本当に良い職場が見つかるかわからない不安」を抱えながらだど、教授や医局長に丸め込まれてしまいます。
転職先は転職できるまで内緒に
ただし、次の職場先は無事転職が済むまで、誰にも伝えないことが大切です。転職先の病院に圧力や妨害が入って転職できなかった先輩医師もいます。特に、近郊の病院への転職の時には気をつけてください。できれば、担当コンサルタントを通じて、医局との退局交渉中ですので、知人の医師に転職する医師の評判など知人の医師について尋ねるような行為は控えるように上手に伝えてもらってください。
医局を辞めたいと伝える適切な時期
では、教授に医局を辞めたいと伝える時期は、実際に辞めるどれぐらい前がいいのでしょうか?
医局により異なりますが、半年ルールとか1年ルールとか聞いたことがあると思います。労働法規でいえば、1ヶ月前に辞職を伝えればそれでよいということになりますが、医局という特殊な集まりには独自のルールがあります。一般的に医局を辞める為には、退局予定日からどんなに短くても半年、できれば1年前には教授に辞めたいという意思を伝えた方が良いと思います。その前から、医局員に伏線を敷いておく必要もあります。注意していただきたい点として、主任教授の交代時期や学部長選挙や病院長選挙の時期は医局を辞めることは難しいことを忘れないでください。。
退局を決めたら、サポートスタイルで次の転職先を決めましょう。
医局を辞めることを決意すると、できることなら今直ぐ医局を辞めたいと思うでしょうし、今までなら我慢できてきたことも我慢できなくなると思います。しかし、
「こんな医局辞めてやる」と爆発しても良い事は余りありません。
それよりも、次の良い転職先を決めることに専念してください。その上で、「皆に内緒で、着実に次の人生に向けて着実に準備を進めているんだ」と安心していてください。新しい職場がほぼ決定すれば気持ちの余裕が出てきます。先生は未来のことに専念してください。
医局を辞める面倒事はサポートスタイル医師求人をご利用になり、こちらにお任せください。できるだけ早めに御相談をいただければ、新しい職場をお探ししたり、円満退局に向けたサポートができます。先生の負荷を最大限軽減します。
医師の世界は狭いので、同じ診療科だと退局後も学会で医局仲間に会うこともあるでしょうし、狭い業界なので医局との喧嘩別れは好ましくありません。ただし、過労やストレスのために、自分の身体に支障が出たり、医療ミスをおかしてしまいかねない状態であったり、精神的に壊れてしまったり、自殺を図りかねない場合には、諠譁別れも仕方ありません。そういった場合には、ぜひ弊社をご利用いただき、次の職場を決めましょう。円満退職よりも何よりも、先生御自身の心身の御健康の方が大切です。
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