以前、新生銀行の老人ホームREITをご紹介した。記事中で「政府は2014年にヘルスケアREITの上場を目指す」としており、昨日の日経記事の内容に合致する。有料老人ホームは景気に左右されず、固定賃料が長期間支払われることで家賃収入が安定している。日本では数少ない安定成長産業だ。
介護・医療施設専用REIT認可 14年度にも、高齢化で需要増
日経新聞 2013/3/6政府は2014年度にも高齢者向け住宅や病院などヘルスケア施設専門の不動産投資信託(REIT)の創設を認める方針だ。実際に施設を運営する業者の財務状況をREITが把握し、必要に応じて投資家にも開示することなどを条件に国土交通省と金融庁が認可する。国による認可体制が整って民間資金が流れやすくなれば、高齢化で需要が増える介護施設などの供給増につながる。
現行の制度下でもREITにヘルスケア施設を組み入れられるが、日本には専門のREITはなかった。認可の基準が明確でなく、高い安全・安定が求められるヘルスケア施設に投資するのはリスクが高かったからだ。こうした不安を取り除くため、政府は昨年からルールを検討してきた。
具体的には、利用者が安定して施設を使えるよう、REITに運営業者の監視を充実させることを求める。運営業者とREITが結ぶ賃貸借契約では、提供するサービスや建物の改修内容、契約解除の条件などを明確にしておく。
REITが施設を取得・運用する場合には、運営業者の財務状況や施設ごとの収支を把握し、投資家にも開示する。現在はヘルスケア施設の運営業者を客観的に評価する仕組みはないため、第三者による評価制度も検討する。
物件の長期保有を前提とするREITは、安定した運営が必要なヘルスケア施設には適している。米国には10を超えるヘルスケアREITが上場していて、時価総額は約673億ドル(12年11月末)にのぼる。カナダ、英国などにもヘルスケアREITがあり、シンガポールの専門REITはすでに日本の有料老人ホームなどを買っている。
運営業者はヘルスケアREITに物件を売却したうえで、改めて施設を賃借し、サービスを提供する。運営業者は施設の運営を継続しながら、売却で得たお金を新規投資にあてられる。投資法人にとっては、少子高齢化でこれまで主に投資してきた賃貸マンションの需要が頭打ちになる一方、高齢者向け住宅は需要拡大が見込まれ、有望な投資先になる。