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英国NHSシステムの光と影

東亜日報の記事。韓国国内向けに発せられたメッセージですが、我が国にも参考になる内容です。
日本の現在の手厚い皆保険制度は持続不可能であり、切り下げは不可避です。その縮小均衡モデルのひとつがNHSですが、この記事を読むと些か行き過ぎの感を拭えません。良いところは真似、そうでないところは他山の石とすることが必要です。

[オピニオン]無償医療の影
東亜日報 2013/2/9

「ハリー・ポッター」の作家、ジョアン・ローリングは感受性の豊富な母親から大きな影響を受けた。ローリングの父親は、工場の責任者として働くブルーカラーだったが、母親のアンは、本や田園生活を愛する女性だった。アンは、ジョアンが13歳のとき、多発性硬化症をわずらい、激しく手を震え、最後は車椅子の生活を余儀なくされた。結局、彼女は娘の成功を目にできず、45歳で死亡した。アンは、医師どころか、訪問看護士の世話すら受けられず、10年間闘病した。この過程をもどかしく見守ってきたジョアンは、10年、多発性硬化症の研究のための基金として、1000万ポンドをエジンバラ大学に寄付した。
◆英国民健康保険(NHS)は、英国がロンドン五輪の開幕式でパフォーマンスを披露するほど、誇りに思っている制度だ。「ゆりかごから墓場まで」保障するというベバリッジ報告書に基づいて、1948年に導入された。加入者が支払う保険料ではなく、100%税金で運営される。全国民が貧富とは関係なく、病気にかかれば診療を受けることができれば、それこそ理想的なことだ。問題は、医療の質だ。英病院は軒並み国営であり、医師は公務員だ。患者らが、医師から診療を受けるためには、待機者リストに名を載せ、短くは6ヶ月、長くは2~3年間も待たなければならない。ジョアンの母親も、そのため、治療を受けず、死亡した。

◆英政府は6日、スタンフォードシャにあるスタンフォード病院で、05年から4年間少なくとも400人、多くは1200人の患者がきちんとした治療を受けることができず、死亡したという「スタンフォード病院をめぐる真相調査の報告書」を発表した。同報告書によると、身動きが取れない患者がベッドで小を足し、一部の患者らは食べ物や水を適時に供給されず、花瓶の水を飲んだ。21世紀の文明国で起きた出来事かと目を疑いたくなる。04年にも、英国で40代の看護師が回生可能性の薄い高齢患者に麻酔剤を投与し、酸素呼吸器を外すやり方で死亡を誘導し、殺人容疑で裁判に掛けられた。この看護師は、「ベッドを早く空けるためだった」と主張した。

◆スタンフォード病院での出来事は、無償医療そのものよりは、無償医療の改革過程で起きた出来事だ。病院は財政支出などで、NHSが要求する一定基準を満たせば、政府から統制を受けず、自主的に運営できる。この基準に合わせるため、06~07年の病院予算1000万ポンドが削減され、医療陣150人が解雇された。その被害はそのまま患者に回された。スタンフォード病院は、限界に達した英NHSの現状をよく示している。デービッド・キャメロン英首相は、「英医療制度のおぞましい失敗について謝罪する」と話しており、原罪が無償医療にあることを認めた。選挙のたびに、無料医療を叫んでいるわが国の政治家らも、英医療制度について勉強する必要がある。

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