公務員医師の兼業許可(地方公務員法38条)|相談前チェックリストと質問例

更新日:2026-01-14

結論:
公務員(等)として勤務している場合、兼業(いわゆる医師バイトを含む)は「原則制限+許可(または届出)で整理」するのが安全です。
不安の正体は「マイナンバー」より、身分・規程・許可手続きが未確定なことにあるケースがほとんどです。

  • まず身分確認:自分は地方公務員(等)か? → 公立病院の医師は公務員?身分の見分け方
  • 次に規程確認:「許可」か「届出」か、どの様式か(自治体・病院で違います)
  • 許可判断の軸:利益相反、職務への支障、信用・品位(この3点で整理されることが多い)

このページの方針:
「隠す方法」や不正を助長する情報は扱いません。
ここで扱うのは制度の理解・相談前の整理です。個別案件は所属先の人事・規程、必要に応じて弁護士/税理士へご確認ください。

1. 地方公務員法38条で何が「制限」される?(超要約)

地方公務員(短時間勤務の区分など一部例外はありますが)では、一般に任命権者の許可がないままの兼業はリスクになります。
ポイントは、単に「会社役員」だけでなく、報酬を得て行う外部の仕事が広く対象になり得る点です。

医師に置き換えると:
他院の当直・外来応援、健診、産業医、講演など、報酬が発生する外部活動は「兼業」として整理される可能性があります。
まずは「うちの規程では、どこまでが許可(届出)対象か」を確認するのが最短です。

2. 「許可」と「届出」は別物(病院ごとに運用が違う)

ここが混乱ポイントです。同じ「公立病院」でも、運用は統一されていません。

  • 許可:事前に申請し、任命権者(または権限委任先)が可否判断する
  • 届出:一定範囲の活動は「報告・登録」で管理する(ただし届出でもNGになることはあります)

したがって、ネット上の一般論だけで自己判断せず、所属の規程(服務規程・兼業規程・人事委員会規則など)で確定させるのが安全です。

3. 許可判断で見られやすい3つの軸(利益相反・支障・適当性)

自治体の規則では、許可の基準が次の3点で整理されている例が見られます(表現や項目名は自治体により異なります)。
この3点で事前にメモを作っておくと、相談が格段にラクになります。

  1. 利益相反(特別の利害関係):外部先が自院の取引先/紹介先/補助金関係などでないか
  2. 職務への支障:勤務・当直・オンコール・疲労などに影響しないか
  3. 公務員としての適当性:信用失墜にならないか、肩書利用・宣伝にならないか

4. 医師が迷いやすい典型ケース(当直・健診・講演など)

以下は「よく相談が発生する」代表例です。結論の断定ではなく、整理の観点として使ってください。

ケース 論点 相談前に用意するメモ
他院の当直・日当直・外来応援 報酬/頻度/疲労/勤務への影響 月何回、時間帯、移動距離、翌日の勤務への影響、報酬
健診・予防接種のスポット 反復継続性/施設との関係 単発か定期か、契約主体、報酬、実施場所
産業医・学校医・地域活動 公益性/利害関係/時間 役割、頻度、報酬、自治体事業との関係の有無
講演・原稿・監修 謝金/肩書利用/内容の適切性 主催者、テーマ、謝金、肩書表記、利益相反の有無
家族の医療機関の手伝い 営利性/関係性/対外的説明 勤務実態、報酬、継続性、利害関係の可能性

5. 相談前チェックリスト(このままメモしてOK)

相談が怖いときほど、先に事実だけを整理しておくとブレません。
下の7点をメモにしておけば、制度確認→申請まで最短で進みます。

  1. 兼業先:法人名(個人なら氏名)、所在地、担当者
  2. 内容:医師業務の範囲(当直/外来/健診/産業医など)、責任範囲
  3. 期間:開始予定日、終了(または更新)予定
  4. 頻度・時間:月何回、何時〜何時、移動時間、翌勤務への影響
  5. 報酬:支払形態(日当/時給/委託)、概算額
  6. 利害関係:自院との取引・紹介・補助金・共同事業の有無
  7. 信用・情報管理:肩書の扱い、広告/宣伝の関与、守秘・個人情報の線引き

6. 人事に聞くときの「制度確認」質問例/メール例

質問例(口頭でOK)

  • 「当院の兼業は、許可届出のどちらで運用されていますか?」
  • 「医師の外部勤務(当直・健診・産業医など)で、許可が必要な範囲を教えてください(制度確認です)。」
  • 「申請様式、提出経路(所属長経由など)、許可期間(年度更新の要否)を教えてください。」

メール例(コピペして調整してください)

件名:兼業(外部勤務)に関する制度確認のお願い

人事ご担当者様
お疲れ様です。○○科の○○です。

外部勤務(兼業)に関する当院の運用について、まず制度確認をお願いしたくご連絡しました。
兼業が「許可」または「届出」のどちらに該当するか、対象範囲、申請様式・提出経路、許可期間(更新の要否)をご教示いただけますでしょうか。
具体的な個別案件の相談は、制度の確認後に必要情報を整理してから行います。

どうぞよろしくお願いいたします。

7. 許可が出た後にやること(更新・変更・記録)

  • 許可書・申請書の控えを保存(更新時に役立ちます)
  • 内容変更(頻度・場所・報酬・契約先など)は先に相談
  • 許可期間が区切られる場合は更新時期をカレンダーに入れる
  • 税務(確定申告など)は税理士へ切り分け(人事=規程、税理士=税務)

よくある質問(FAQ)

Q. 「地方公務員法38条」のポイントを一言でいうと?

A. 任命権者の許可なく、営利企業の役員等を兼ねたり、営利事業を行ったり、報酬を得る外部の仕事に従事することを制限する規定です(具体運用は自治体・病院規程で確認が必要です)。

Q. 医師の当直バイトは、原則「許可対象」と考えた方がいい?

A. 公務員(等)の場合、報酬が発生する外部勤務は許可/届出の対象になりやすいです。まずは「当院の運用で当直・外来応援がどの分類か」を制度確認してください。

Q. 産業医・学校医など地域活動は許可されやすい?

A. 公益性が評価されることはありますが、利害関係や時間の問題がゼロになるわけではありません。許可の可否は所属の基準で判断されるため、申請前に要件を確認してください。

Q. 講演や原稿料は「軽いから大丈夫」?

A. 断定は危険です。謝金の有無、肩書の扱い、継続性、主催者との関係などで扱いが変わります。少額でも「届出が必要」な運用もあります。

Q. 申請に必要な情報は何?

A. 兼業先、内容、期間、頻度・時間、報酬、利害関係の有無、職務への影響(疲労・翌勤務など)の7点を揃えると通りやすいです。

Q. 許可はずっと有効?

A. 年度末までなど期間が区切られ、更新が必要な運用が多いです。変更がある場合も再申請・変更申請が必要になることがあります。

Q. すでに始めてしまった場合は?

A. まずは状況を整理し、所属の手続き(遡及申請の可否など)を人事へ確認してください。隠す方向へ進むほど後で苦しくなります。必要なら専門家相談も検討してください。

参考資料(一次情報)


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