国保組合に補助金カット再浮上 医師ら抵抗も
医師国保の改悪が再び議論されています。
大学にいる無給の大学院生には良いシステムなのですが・・・
国保組合に補助金カット再浮上 医師ら抵抗も
日本経済新聞 2012/2/7
高所得の医師らが加入する国民健康保険組合への補助金削減の道筋が不透明だ。厚生労働省は平均所得(市町村民税の課税標準額)に応じて補助率を下げ、平均所得300万円以上の組合への補助は廃止する方針だが、医師らの抵抗が根強いためだ。補助がない健康保険組合などと比べ「不公平」とされる状況が温存される可能性がある。
国保組合は医師、弁護士、建設職人などの同業者を組合員とする健康保険で160余りあり、加入者は計330万人。国が保険給付の原則32%を補助しており、補助金の総額は年間3200億円強に膨らんでいる。「高所得者の医療費を国が補助するのはおかしい」との批判が強かった。
■抑制効果400億円
こうした批判を受け、厚労省はこれまで一律32%だった補助率を、国保組合の加入者の平均所得に応じて0~32%の5段階に分ける案を検討している。平均所得が150万円未満なら現在と同じ32%の補助率になるが、150万円以上の国保組合は補助率が大幅に下がることになる。補助率の引き下げによって、国は補助金を400億円程度減らせる。増え続ける社会保障支出をある程度抑えられるほか、公平感を高めることで健康保険制度への信認を取り戻す狙いがある。
当初は補助率を3区分とし、平均所得が300万円以上の国保組合への補助率を16%強に維持する「軟着陸案」も検討した。だが、国の財政が厳しさを増すなか、比較的所得の高い層への補助を残す案では理解を得られないとの判断に傾いた。
■過去には断念
見直しに動く厚労省だが、実現にこぎ着けるのは容易ではない。既得権益を奪われる医師らの強い抵抗が予想されるうえ、あえて火中の栗を拾おうとする応援団が民主党内でも限られているためだ。
国保組合への補助金の見直しは、政府の行政刷新会議が2010年11月に開いた事業仕分けで提言していた。10年末には当時の野田佳彦財務相らの3大臣合意で見直し方針が確認されたが、医師らの反対が根強く実現しなかった経緯がある。
「補助率見直しは死活問題」。昨年末の社会保障審議会医療保険部会で厚労省が見直し方針を再提案した際にも、医師側から強い抵抗の声が上がり、議論がこじれた。
厚労省は今回、補助金削減のための法案を、高齢者医療制度の見直し法案とあわせて通常国会に提出する方針だ。単独では反対勢力につぶされかねないため、医療保険制度の安定を狙った複数の法案をまとめることで、正面突破を狙う。13年度以降のできるだけ早い時期に補助金を削減したい考えだ。
だが、高齢者医療制度の見直し自体も、負担増を懸念する都道府県の反対があって難航。民主党は都道府県の説得に努めるというが、先行きは極めて不透明だ。消費増税を目指すなら社会保障の無駄を省くことが不可欠なはずだが、正面からの議論を避けようとする動きも目立つ。