公開日:2026年9月5日
医院を継ぐ前に知っておきたいこと
医院継承は新規開業より初期投資を抑えられる可能性がある一方で、「楽な開業」というわけではありません。既存の患者さん・スタッフ・設備を引き継ぐための準備と、継承後の運営設計が重要です。このページでは、継ぐ側の視点で必要な知識を整理します。
医院継承の全体プロセス
案件の発見から開業後安定までの流れは、おおむね以下のような段階に分けられます。
Step 1:情報収集と条件整理(1〜3ヶ月)
まずは自分の希望条件を整理します。
- 希望する診療科目・地域・規模
- 予算(自己資金+借入可能額の目安)
- 引き継ぎたい患者数・スタッフの有無
- 開業後の診療方針のイメージ
この段階では焦って決める必要はありません。非公開案件を含む情報収集から始めましょう。
Step 2:案件の検討と視察(2〜4ヶ月)
条件に合う案件が見つかったら、実際のクリニックを訪問し、院長やスタッフから話を聞きます。
- 患者数の推移と診療報酬実績
- 設備の状態と修繕の必要性
- スタッフの継続意思
- 地域の医療需要と競合状況
Step 3:デューデリジェンスと契約(2〜4ヶ月)
買収対象のクリニックの財務・法務・設備を詳細に調査します。必要に応じて税理士や弁護士の関与を検討しましょう。
- 財務諸表の確認(過去3年分)
- リース契約・保険契約の確認
- 不動産の評価(賃貸の場合は契約条件)
- 医療法人の場合は定款・議事録の確認
Step 4:引継ぎ期間(3〜6ヶ月)
継承後の患者維持率を高めるために、前任の院長との引継ぎ期間を確保することが重要です。
- 前任者との併診期間の設定
- 患者さんへの周知(挨拶状・掲示・ホームページ)
- スタッフとの顔合わせと運営方針の共有
- 行政手続き(保健所・保険医療機関指定)
Step 5:開業後の運営安定(6ヶ月〜1年)
継承後の初期は、現状維持を基本に少しずつ自分の診療スタイルを浸透させていきます。
- 患者維持状況の確認とフォロー
- スタッフとの定期的なコミュニケーション
- 診療方針の段階的な見直し
- 新規患者獲得施策の実施
資金計画の現実
医院継承に必要な資金の内訳は以下のような要素で構成されます。実際の金額は診療科・規模・地域により変動します。
- 継承価格:1,000〜5,000万円程度(患者数・設備・不動産により変動)
- 改装費:0〜500万円程度(現状による)
- 運転資金(6ヶ月分):500〜1,500万円程度
- 諸経費(仲介・法務・登記等):100〜300万円程度
総額の目安としては3,000〜8,000万円程度を見込んでおくと安心です。日本政策金融公庫や地方銀行の医師向け融資制度が利用可能な場合があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 医院継承にかかる期間はどのくらいですか?
A. 案件発見から引継ぎ完了まで、通常6〜18ヶ月程度です。焦らず、余裕を持ったスケジュールで進めることをおすすめします。
Q. 融資はどのくらい受けられますか?
A. 日本政策金融公庫の医師向け融資や地方銀行の開業融資などがあります。自己資金の割合や事業計画の内容により審査結果が変わります。事業計画書の作成支援も行っています。
Q. 継承後の患者維持率の目安は?
A. 引継ぎ設計の質により大きく異なりますが、丁寧な引継ぎを行えば60〜80%程度の患者さんが継続して来院される傾向があります。診療科や地域の特性にも左右されます。
Q. スタッフが辞めてしまった場合の影響は?
A. スタッフの退職は患者維持や診療運営に影響を与える可能性があります。継承前にスタッフの継続意思を確認し、新しい院長の方針を丁寧に説明することで、離職リスクを軽減できます。
Q. 継承後に診療科目を変更できますか?
A. 診療科目の変更は保健所への届出や保険医療機関の指定変更が必要になる場合があります。変更の可否と手続きについては、事前に行政や専門家に確認することをおすすめします。
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